馬産地復活を目指して青森のホースマンが見る夢
青森はかつて日本ダービー馬を3頭、天皇賞馬をはじめTTGで人気を博したグリーングラスを輩出するなど日本有数の馬産地であった。
しかし近年では生産馬の減少や成績が低迷している。
その地に次なるスターホースの誕生を予感させる熱きホースマンがいる。
スプリングファームの佐々木社長である。
佐々木社長とのインタビューの際に随所に出た言葉、「この青森の地から活躍馬の輩出と馬産地青森の復活」である。
今回はその想いや2頭の種牡馬の物語と今後の若駒に迫る。
青森の競走馬を変えるべくウインバリアシオンの導入
どうすれば青森の生産が盛り上がるのか青森の若き生産者たちは常に頭を悩まされていた。
そこで白羽の矢がたったのがウインバリアシオンであった。
(取材・構成=藤田 健斗)
以下、インタビュー
ーウインバリアシオンの導入の経緯とは
馬産地復活を目指す中で青森の競走馬生産の青年部で何度も話し合いました。
そのためには青森を代表する優秀な種馬の導入が必要だとよく議題にあがりました。そこで新種牡馬としてウインバリアシオンの導入に力を入れた背景があります。
ーウインバリアシオン導入までの流れとは
2015年当時活躍をしていたウインバリアシオンが天皇賞春のレース後に故障が判明し現役引退が発表されたんですけど、血統面や実績から見ても非常に魅力的な馬でした。
なんとか導入できないかと考え、当時、関係者各位に連絡を取ったもののウインバリアシオンには北海道をはじめ韓国やオーストラリアなど複数からのオファーがあったみたいで、難しいのかなと感じましたね。
ーそこからスプリングファームさんへの流れとは
ただ、幸いにも他のオファーが決裂したんです。そこで再度ウインバリアシオンの関係者とお話をさせていただいた末に青森のうちの牧場に来ることが決定したんです。
ーウインバリアシオン産駒への評価は
種付けの7割程度が青森の繁殖で、ときには北海道からも3割くらい来てくれていますね。
実際に中央競馬で勝ち上がる馬も出ており、産駒の馬っぷりも良いとの評判をいただいております。
実はマイネル軍団の岡田総帥も生前に「この馬は良いよ。青森に行くという話は聞いていたけどお前だったのか」というようなお声をいただいたこともありましたね。産駒の仕上がりも早く脚元が素軽い馬も多く今後も安定して結果を残してくれると思います。
大物の予感。貴重なウォーエンブレムの後継
ーオールブラッシュについてもお話したいのですが、オールブラッシュの導入経緯は
ウインバリアシオンから6年後の昨年オールブラッシュの関係者の方からお話をいただきました。
父のウォーエンブレムは産駒頭数が120頭前後と少ないながら8頭の重賞ウィナーを輩出しように、もしも多くの産駒を輩出できていたらとタラレバが付き物の父親でしたが、その唯一の牡馬のG1ウィナーがこのオールブラッシュになるので期待しています。
ー初年度産駒の評判などはいかがですか
本当に馬格の良い馬が多くて、オールブラッシュ自体も毛色含めて父に似ているのですが、オールブラッシュの産駒は父のウォーエンブレムに似ているとの声を沢山いただいてます。
しかし牝馬の選り好みをするところもあるのでそこまで似るのかと感じますよね。大柄な牝馬よりも小柄な牝馬が好みみたいですね。
ー2頭の種牡馬とスプリングファームさんの注目産駒は
ローレルクラブで募集のワクワクルンルンなどは馬体が素晴らしく仕上がりの早さや軽いフットワークについても現地から高い評価が届いています。
グランデファームの社長さんはバリアシオンに拘って北海道から青森まで付けにくれて是非活躍してもらいたい一頭ですね。
また我がスプリングファーム産ではウインバリアシオン産駒で先日道営でデビューをしたリュウノフランカーも動き自体は良いと評価をいただいており、デビュー戦は負けてしまいましたが今後が楽しみな一頭になります。
今年の春の当歳馬でもマルターズホビーの父サトノアラジンの子供なんかもすごく楽しみですよ馬体が素晴らしいのでデビューまで無事に進めていきたいですね。
オールブラッシュの初仔では笹川大晃牧場のユキハナ2022や諏訪牧場様のヴァージャー2022なども今後本当に無事に進んでもらいたいですね。どちらも馬体の作りがよく雰囲気のある楽しみな馬です。
ー青森の生産がより盛り上がっていきそうですね
ウインバリアシオンは芝馬の印象で安定の高い成果を今後も残してくれそうかなと、
オールブラッシュについては大物を輩出してくれそうな予感がしていますね。また、
青森の八戸市場にもウインバリアシオン産駒が過去最多の頭数を出展予定になっています。青森の地から活躍馬を輩出し、もっと盛り上げていけるように頑張っていきたいですね。
八戸市場サイト:https://umaichi.com/search/hachinohe_sale.html
今取材で何よりも感じたことは佐々木さんのホースマンとしての熱い思いだ。
やはり馬は人が走らすものであり、この青森の地から近い将来続々と活躍馬が出るはずである。その時を信じて今後も青森の生産馬を追っていきたいと思います。
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