今回は本田牧場の社長に取材をさせていただきました。
「出来るだけオーナーさんに楽しんでいただきたい」そんな社長の言葉から会話は始まった。
近年ではヨカヨカが生産馬としてJRAの重賞を制覇するなど九州の地で本田牧場が生産した馬の活躍が目立っている。
今回の取材では国内の多数の牧場が北海道で生産をする中で九州に位置する本田牧場ならではの地域ハンデの克服と地の利を最大限に生かしていくためのホースマンとしての工夫と想いを語っていただいた。
(取材・構成=藤田 健斗)
以下、インタビュー
ー近年の生産馬の活躍に際しての要因などはございますか
注力しているのは昼夜夜間放牧ですね。
丈夫な馬体作りのための飼料の工夫での馬体の成長と昼夜放牧で運動量を増やし肉体的にも精神的に成長をさせていく。
そのために放牧地の改良を行いました。
それは近くの高森の標高800mの高地に55ヘクタールの放牧地を建設しこれまでの九州産地の課題であるスペースの確保と放牧地の青草の担保および、気候的にも馬が過ごしやすい環境を作ることが出来てきていますね。
とにかく育成に持っていくまでに基礎体力をつけられるよう心がけています。
それは馬の馬体の強化のみならず精神的にもタフな馬の生産にも繋がります。
実際に始めてから数年地道な成果はヨカヨカの活躍やヒノクニのJRAレースの勝利などからも成果に繋がっているように感じますね。
ー九州だと環境など北海道と異なる部分もありますが
従来九州の生産では放牧地のスペースの確保とそれに伴う青草の担保が行えない事、夏の猛暑、梅雨どきを含む降水量の多さなど運動量や馬にとってのストレスなどいわゆるハンデの部分が多いのは事実ですね。
夏は暑いしスペースも限られるけれども逆に冬は北海道に比べて暖かく筋肉は解るし早めの運動を始められることから早めに馬を仕上げることも出来るとは思うんです。
だから利点もあると考えて生産を行っていますよ。
九州の育成環境含めて劣る部分はありますが九州の利点を目一杯活かすことが出来れば、まだまだやれるんじゃないかな。
実際に近年の九州産馬は仕上がりも早く成果を感じております。
ー夏の九州市場には牧場本田牧場の名前も多いですが今後ますます楽しみですね
種牡馬のケイムホーム、スクワートルスクワートの九州の代表種牡馬の産駒をはじめ年々生産数を増加していまして、本年の九州のセールでは過去最多の9頭の出展を予定しています。
多くの馬を無事に出展できることは生産者としてはやはり嬉しいですね。
また2歳であれば全ての馬が楽しみではあるんだけどもマクフィを父に持つオバケノキンタ(大根田厩舎)やベルボールドナイン(菊沢厩舎)の2頭・セロンテソーロ(加藤和宏厩舎)・キスウマイ(松永幹夫厩舎)などもデビューが待ち遠しいですね。
ーこれからの九州のホースマンについては
どの世界も仲間が必要ですよね。競争相手であり友でありお互いを高めあえる人間が。
だからどんどん馬をやりたいという人が出てきてほしいですよ。
熊本県内の近くの牧場でも2人若い方が入りましたが貪欲な姿勢は目を見張る部分がありますね。
それはうちだけじゃなくて九州でも北海道でもいいけどそんなホースマンがどんどん出てくることが競馬界全体のレベルアップに繋がるんじゃないですかね。
だからもっともっと僕らの思いをオーナーや競馬ファンにも伝えていきたいんです。
うちの牧場ではHPは息子が作ってくれたんですが、オーナーの目に当たるのも勿論ありがたいことだけれども全ての競馬ファンと共に馬を育てていきたいんですよ。
だから若駒情報などを配信しています。それをきっかけにうちの牧場に興味を持ってもらえたらすごく嬉しいですよね。
ー取材を経て
今回の取材から九州という地でハンデという点を自ら払拭して地の利点に変えていく社長の信念は競走馬の生産だけでなく全ての仕事にに通ずる貴重なお話でした。
競馬の世界ではやはり血統なども大事ですが、それよりも馬は人間の手によって走らせるものであり、今取材では社長の思いが近年の牧場の成果に繋がっているということを感じました。
世界を見れば気温の高い地域などでも馬産業が盛んな地域は沢山ありますがその代表として九州の名前が上がるまで本サイトでも注目して追っていきます。
本田牧場
所在地
〒861−8031
熊本県熊本市東区戸島町1363−2
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