今回は浦河の名門の谷川牧場さんの代表取締役 谷川貴英様 に取材をさせていただきました。
先月の函館SSを制したナムラクレアをはじめチョウカイキャロルやタケホープやサクセスブロッケン等、数多くの名馬を輩出した谷川牧場さんに名馬のエピソードや好調の要因などについてお伺いしました。
活躍馬の生い立ちやターファイトクラブの注目馬など四弾に渡り記事を執筆していきます。
今回の記事はその内の第一弾になります。
競馬ファン必見です。
(取材・構成=藤田 健斗)
以下、インタビュー
ーこの度はお話のお時間いただきありがとうございます。
お忙しい時期かと思いますが、我々のようなメディアの取材をなぜ受けていただけたんですか?
一番は日高の宣伝になってくれればすごく嬉しいと考えていますね。
うちの牧場やクラブも勿論だけど、何よりも日高全体を盛り上げていきたいですよね。
今の時代こんなにも多くの人と繋がれるますからね。
絶対にブランディングなどは行った方が良いと考えています。なので今回も競馬界や日高のためになるのであれば。
また、実際にTwitterやHPをはじめファンとの交流も大切にしており、そこから繋がった縁などもありますから。
ー谷川牧場さんは競馬ファンにも寄り添いながら凄く貴重な情報の配信を頻繁にされていますよね。
出資している方もそうでない方も含め競馬ファンの皆様が仔馬の情報を楽しみにしていてくれる。
だからこそ牧場みんなで取り組んでいますね。
それに対して皆様からいただける応援のコメントなんかは私達の励みになりますね。
以前、過去に貯まっていたクラブの優勝馬の写真なんかも会員さんにあげた事もありましたが、皆さんに喜んでもらえてこちらとしてもすごく嬉しかったですよ。
ただ、勿論走らないとファンも離れてしまうから結果を出すことを考えていますね。
多くのファンの方に楽しんでいただきたく牡馬牝馬問わず走りそうな馬を牧場としてもターファイトに提供しております。
ーナムラクレアの函館SSをはじめとする生産馬の活躍おめでとうございます。
ナムラクレアは強い競馬をしてくれましたよね。とても興奮しました。
この馬においては兄弟も所有は全て奈村オーナーで牧場としても期待していた一頭でしたからね。
秋はスプリンターズSが目標になると思いますが本当に楽しみですよ。
また、浜中ジョッキーも50kgで本当によく乗ってくれましたね。本人は50kgはもうやりませんと笑っていましたね。
ーナムラクレアにおいて牧場時代で目立つ部分などは如何でしたか。
特筆すべき点はとにかく運動量の多い馬でした。
常に放牧地を走り回っていましたね。だから今の成績は納得ですよね。
ーナムラクレア以外にもファントムシーフの新馬戦の勝利など続々と活躍馬が出ておりますが要因はどんな部分でしょうか。
一つは繁殖の質ですかね。
繁殖の輸入において非常に上手くいき成績に反映しています。
また、馬の良し悪しについては日々研究を重ねて慎重に行っていますね。
最近は競馬メディアの方など分析されている方からもデータをいただいたりもしています。それらも参考に日々考えていますね。
馬の世界には答えがありませんから。
だからこそ面白いですよね。
ー繁殖を購入の際のポイントなどは何かございますか。
経験等もありますが、やはり血統の筋の通ったものを買いたいと考えていますが値段も高くなりますからね。
馬体においてはトップライン(頭の天辺から尻尾までのライン)で良し悪しも判断します。
また、日々の経験や考えている事が海外に馬を買いに行ったときの閃きになるんですよ。他の人が評価しなくても自分の中でのジャッジや決め手になってきます。
時に稲妻が落ちるような感覚になるんですよね。
繁殖は血統が重要ですが、あとは良績の有無や馬体を見ながら見極めますね。
しかし最後は縁と運とタイミングもありますよね。
ー縁と運とタイミングですか。
一番欲しい馬がセールの最後の方にいて、2番手3番手が前の方にいた場合ずっと買わないで待っているのか、それとも2番手3番手を買っておくのかそういった順番などもありますからね。
例えばルピナスリードやファントムシーフの母のルパンⅡもエピソードがあってね。
海外のセールで他の牧場の方とのグループにエージェントをつけて回っていたのですが、自分は目当ての馬を買えなかったんですよね。
そんな中で私としては渡航前はノーマークだったのですが一緒に回っていた他の牧場の方がチェックをつけていたのがルパンⅡでした。それで一緒に馬を見たらすごく良く見えたんですよね。
また、チェックをつけていた方が違う馬を競るとのことだったので、筋を通すためにもその人にこの馬を買いたいんだけどいいかなと確認して競り落としたんですよ。
だから縁と運なんですよ。一緒に回らなかったら巡り合っていませんからね。
他にもチョウカイキャロルの母のウィットワタースランドの時も狙っていた馬が買えなかったんですよ。それで当時ミスタープロスペクターが流行りだしていた頃なんですけど、その子供でG3を勝っているし血統も良いんじゃないかと、そこでカタログを見直してこの馬を見に行ったんですよ。
実際見たときの馬見せのターンで大げさかもしれないけど光って見えたんですよ。
それでこれは良いなと思って購入しましたよね。
あとインカンテーションの母オリジナルスピンも当時1ポンド220円程度で中々高い馬が買えなかった。
狙っていた馬のセリで全部負けて、再度リスト見直して違う馬を見たんだけど大したことなかった。
その馬の後ろで全くノーマークの馬を海外の方が見ていたんだけど良いなと感じてカタログを見て血統もまあまあいいなと感じて買いましたから。
今話した馬との出会いも全て人の縁や運、タイミングですよね。
ただ、そのためには日々の経験や考えから来る知識と閃きですよね。ですから常に考える事が重要ですよね
ー配合においての狙いや期待していた点はいかがですか。
ドリームオブジェ二ーとルパンは狙い通りに産駒が活躍しましたね。
ファントムシーフについては買ったときからああいった血統にしたいと思っていました。
Keraliの4×4の牝系クロスを狙っていたんだけど、その反面デインヒルの3×3は少し心配でしたね。
やっぱり血が濃いとリスクもありますからね。なのでちゃんとした形で生まれたとともに成長してくれて良かったです。そういったリスクもあるため2年続けはしませんでした。
ー牝系クロスの魅力ですね。
やはり牝系クロスは遺伝力が強いですからね。
過去にはノーザンテーストはレディーアンジェラの2×3。デインヒルもNatalmaというノーザンダンサーの母にあたる馬の3×3。
Machiavellianも母のCoup de Folie辿るとノーザンダンサーの祖母にもなるAlmahmoudの3×3が入っています。
そういった背景も見ていくと牝系クロスというのは一発逆転の繁殖や種馬を作るには重要だと考えています。
〜次回予告〜
谷川牧場〜引き続き好調の要因とホースマンとしての思い出〜【第二弾】
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